世界の学校訪問 1 バリ島の「グリーンスクール(Green School)」

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日本の外に出ると、学校はどのような環境で、どんな教育が行われ、生徒がどんなことを学んでいるのか。 今回第1回目として、インドネシアのバリ島、ウブドにある、世界最先端のエコスクール、「グリーンスクール」に視察に行ってきました。

グリーンスクールとは、バリ島でジュエリービジネスを大成功させたカナダ人のジョン・ハーディが『接続可能な社会を担う、次世代のリーダーを育てる学校』として設立したインターナショナルスクールです。2008年に開講され、開講8年後の今は、3歳から18歳の子供たちが約400人ほど、毎日ここで学んでいます。

ジョン・ハーディのTEDプレゼン、グリーンスクールのコンセプトはこちら。

ジョン・ハーディ:私の夢、「緑の学校」 | TED Talk | TED.com

グリーンスクールの視察は、サイトから直接見学ツアーを申し込むことができます。9:00-10:00の1時間コースで、190,000IDR(日本円で1600円ほど)です。クレジット決済と当日現金支払いが選べます。

Book a Tour - Green School Bali

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当日は、各国から15名ほどの見学者がおり、ここで2年半ほど働いているカナダ人のエマさんが、学校を案内してくれました。

あいにく生徒の写真撮影は禁止だったので、見聞きしたものをお伝えします。

生徒の様子はこちらの動画から。

https://www.youtube.com/watch?v=BHAtW7OUrDo

ツアー内容

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グリーンスクールは、ウブドの中にひっそりと佇んでいます。 車でしかたどり着くことはできません。 そこは、ジャングル。 携帯の電波は不安定で、地面は舗装されておらずボコボコのまま。 サンダルでしたが、かなり歩きづらいです。 日本の学校のイメージとはかなりかけ離れた環境です。 虫の声が聞こえます。

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あとで使う素材としての保管庫。 いらないもの、リサイクル品は全てここに持ってくるそうです。

地元のインドネシアの子達はゴミを5kg持参、などといった形で、 奨学金制度として、ゴミをお金として入学できるようにしているそうです。

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メインカンファレンス会場。 ガイド中は、生徒が思いのまま音楽をかけてダンスをしていました。

生徒の傾向は、白人が多い印象でした。 オーストラリア、ニュージーランド、アメリカ、カナダ、南アフリカなど各国から入学に来るそうです。 日本人の留学生もいるそうですが、アジア人は全体的に少ない模様。 授業料が高い理由で、バリのローカルの生徒は8%のようです。

ここに留学させる家族は、子供のためにインドネシアに移る人が多いそうです。 だいたい1年、2年通って自分の国に帰ります。 グリーンスクールのコミュニティーは強く、親も学校に積極的に関わって欲しいと言っていました。 7歳以上の人の寮もありました。

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学校にはバイオバスがあり、生徒はバスを使ってここまで登校します。 登校後朝ご飯はここで買えるそうです。 無論無農薬であろうと思われます。

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全部で7kmの竹が使われている建物です。 直線が一つもありません。 建築デザイン的にも圧巻です。 当日ここでは、生徒が地面に寝そべったり、画用紙を広げて、思い思いのまま自転車のデッサンの絵を描いていました。 クラスは英語がメインですが、スペイン語、フランス語、インドネシア語も教えているそうです。 ITラボ、図書館もあるそうです。

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黒板、椅子、机、全てが有機的な形に包まれています。 手洗い場もリサイクル品から作られていました。

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鶏小屋。 グリーンスクールのメイン教育トピックは「サスティナビリティー」です。 小さい頃から、動物に触れ、自然を恐れないように教えているそうです。

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堆肥を集めている場所。畑に使うそうです。

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学校には、川もあります。

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畑もあります。

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泥遊び場もあります。

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これはヒンドゥー教の儀式のひとつで、日に3回神様にお供えをするそうです。 神様も飽きないように、と、タバコもお供えしてありました。

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このお花の栽培の下には、魚の池があります。 魚糞が混じった池の水をこのお花やり、糞を土の栄養として無駄なく循環させているそうです。

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グリーンスクールでは、ヨガのクラスがあります。 体を動かして体験することが重要であり、 全体を見る視点を持つために、スピリチュアルなことも教えているそうです。

この建物にも壁はありません。 たとえ大雨が降っても気にしないそうです。 というのも、人間は常に自然と関わり影響を受けている、というのを肌感じるために、従来の学校のように「外と教室」と環境を分断しないよう、あえてしているそうです。 大雨が降った時にではどうするかなど、いかなる時も柔軟に問題を解決できる人を育てたいとおっしゃっていました。

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グリーンスクールを建てたときに創設者が寄贈したクリスタル。

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グリーンスクールのトイレ。 水で流すのではなく、終わったらバケツの中の土をかけるようになっていました。 これが堆肥になるようです。

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ガイド終了後はバナナケーキとジュースが振舞われました。 バナナケーキがナチュラルな味で美味しかったです。

Q: IT教育ってどんなことやっていますか?(質問してみました)

グリーンスクールでは、グラフィックデザインやビデオアートみたいなことを少し教えるそうです。 あまり今プログラミングは教えていないそうですが、生徒が選択してやりたければ、学校はそれをサポートするそうです。

感想

生徒にとっての理想郷

グリーンスクールに実際訪れてみて、子供時代に思い描くような理想の学校だと思いました。学校自体がアスレチック場のようで、泥遊びも、川遊びも、虫取りも、サッカーもなんでもできます。また教科書をただ読むのではなく、大自然の中、自分の興味の赴くまま学習内容を選び学べるので、吸収力が違うだろうなと思いました。こんな場所で幼少期に体を動かし学んでいれば、とてつもない感性が磨かれるでしょう。

生徒もみんな笑顔でいっぱいで、イヤイヤ何かを強要されてやっている姿はなく、自主的に学んでいる印象でした。おそらく学校に行くのもイヤにならないでしょう。そして、生徒がそれぞれ違う国の中で学ぶのも、コミュニケーションスキル、相互文化の理解が磨かれるだろうと思いました。変化の激しい時代に対応するとか、心を自分で満たすとか、タフに人生を生きていくことって、実は、日本の学校で学んでいなかったことが結構あると思いますが、自然の中でどっぷり生活し揉まれることで、グリーンスクールではそれらをなんとなく学べるのではと思いました。

高い授業料とビザという壁

ただ、この学校の影としては、地元の子がここで自然と共存する術を学び、国を活性化させることができれば理想ですが、実際授業料が高いために、お金のある白人の子供しかなかなかこれないという現状があります。そして、家族ごとインドネシアに移住しないと、ここで教育を受けられないのもネックです。仕事を辞めて、子供のために移住するという決断はなかなか難しいでしょう。

また、昔は先生ももっと開かれていたようで、インターンプログラムなど結構あったようですが、インドネシア政府が外国人の受け入れやビザを渋るようになったため、今は簡単にインターンができない、グリーンスクールの先生になるのが大変になってしまった模様です。ただ、学生で、大学に所属し、グリーンスクールの教育を学ぶために、というルートならインターン受け入れられやすい、とおっしゃっていました。

いい教育を受けるためにお金が必要なのは難しい問題ですが、ここで学んだ子たちがこれからどのように世界で活躍していくのか楽しみだと感じました。